ソウル⑬:韓国カフェ増加はなぜ?売上高は減少傾向も、スタバは相変わらずの人気
韓国に来ると感じるのが、とにかくカフェが多いこと。
ソウル市によると、市内には17,000店を超えるカフェが存在し、これは、1万人当たりおよそ17店舗ある計算で、スターバックスが生まれた米シアトルの15店舗をも上回っているそう。
韓国国内のカフェの総店舗数は2015年に49,600店となり、2011年と比較すると、3倍以上に増加しています。
なぜこれ程までにカフェが増えたのでしょうか。
背景には、韓国人の1人当たりのコーヒー摂取量の増加(1990年から現在までにおよそ2倍の2.3キロにまで増加)、韓国人の独立起業の多さがあるようです。
カフェの歴史を辿っていくと、スターバックスなど外資系フランチャイズの進出がはじまった2000年前後から、韓国ではカフェ文化が広く浸透。
その後、「カフェベネ(caffe bene)」、「EDIYA」などの韓国発のコーヒーチェーンが勢力を伸ばしはじめ、2013年-14頃からカフェ・ベンチャーブームが起きました。
このブームの担い手となっているのは、就職難で働き口が不足している20代、30代。
韓国の会社員は、大企業に入らないかぎりとても不安定で激務。
少額の資本をもとに野心のある若者が、列をなしてカフェ業種に進出しはじました。
とはいえ、現在韓国発のコーヒーチェーンの売上高は減少傾向。
売上高は、2008-12年に20%以上増加した後、2014年には8%に減少。「カフェベネ」は、昨年の第1四半期に33億ウォン(約3億1400万円)の赤字となり、店舗数も1000店舗突破→850店舗へと経営不振で減少しました。「cafe DROPTOP」では、従業員を20%解雇したそう。
現在は、ファストフード店やコンビニなどの参戦で、競争がさらに厳しさを増し、韓国のコーヒーチェーンは中国や東南アジアに商機を見出しているようです。
そんな中、スターバックスコリアは好調。
※画像はスターバックスコリアより
2016年12月には韓国国内で1000号店目をオープン。
韓国より先に1000号店オープン達成している国は、アメリカ、カナダ、中国、日本の4カ国。
1号店→300号店までに10年かかったものの、それからたった6年(2010-16年)で新たに700店舗を追加。売上は2010年の2421億ウォン(約241億円)→2015年に7739億ウォンまで跳ね上がりました。
韓国コーヒー業界は飽和状態な中、これらの国に比べ圧倒的に人口が少ない韓国で、スターバックスが揺るぎない人気を誇るのはなぜなのでしょうか。
理由①スタバならではの革新的なサービスの提供
1.韓国コーヒー業界初「スタバカード(プリペイドカード)」導入。
2.スターバックスリワード(STARBUCKS REWARDS)アプリの配信。
スタバカードをアプリとリンクさせると、カードがなくてもスマホの画面にバーコードを表示させ、スマホアプリで注文/支払いが簡単にできる「Siren Order(サイレンオーダー)」を世界に先駆けて開始。
利用者は店舗に到着後、待つことなく商品を受け取れるという便利さが話題となり、サイレンオーダーは、サービス開始から2年5ヶ月で累計注文数1000万件を突破するほど人気に。2016年8月からは「自分好み」の飲み物が注文できるようオーダーメード機能を強化し利用者のさらなる拡大を図っています。
さらに、1店舗で1回お会計するごとに「星」が1つずつたまり、誕生日特典や店内おかわり無料(ドリップコーヒーorお茶)、メンバー限定イベントへの参加が可能。
理由②タンブラーや手帳等の「スタバグッズ」が、顧客ロイヤリティを向上
1.韓国のスタバにしかないグッズが多数あり、種類が豊富で人気が高い。
特に年末に発売されるスタバの手帳は、先着&希少価値の高さから毎年品切れが続出。
韓国では、スタバによって周囲の商圏が活性化する現象も起きており、不動産業界では駅勢圏ならぬ「ス勢圏」という言葉も登場するほど。
韓国のスタバには不況も関係ないようです。
韓国のスタバ限定で発売されていたプリンは、2016年11月ついに日本でも発売開始。
プリンだけでなく、日本でも話題の韓国スタバグッズや、スターバックスリワードは、今後日本にやってくるのか、楽しみです。